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弁護士の前平雄矢でございます。
治療がまだ必要なのに、保険会社から「そろそろ治療費の支払いを打ち切ります」と連絡が来た——そんな突然の打診に、驚かれている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えします。打ち切りを言われても、すぐに治療をやめたり示談に応じたりする必要は、一切ありません。
この記事では、なぜ保険会社が治療費の打ち切りを打診してくるのか、その裏側の理由と、打診されたときに取るべき対応策、そして絶対にやってはいけないことを解説します。
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1. なぜ保険会社は「打ち切り」を打診してくるのか
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保険会社が治療費の支払いを止めようとする理由は、主に2つあります。
■ 理由① 社内の「目安期間」による機械的な判断
保険会社は、過去の事故データをもとに、ケガの種類ごとに独自の目安期間を設けています。むち打ち(頸椎捻挫・腰椎捻挫)なら事故から3〜6ヶ月、骨折なら6ヶ月〜1年が経過したタイミングで、打ち切りの連絡が来るケースが多くなっています。
これはあなたの実際の回復状況を医学的に評価したものではなく、「目安の期間が来たから支払いを終わらせたい」という、保険会社側の事務的な判断です。
■ 理由② 「一括対応」は保険会社の任意サービス
通常、交通事故の治療費は、保険会社が病院に直接支払う「一括対応」というサービスで処理されます。これは法律で定められた義務ではなく、保険会社が任意で行っているサービスです。そのため、保険会社は自社の判断でこのサービスをいつでも終了させることができます。
ただし、「治療が必要かどうか」を判断できるのは保険会社の担当者ではなく、主治医だけです。保険会社の言葉を鵜呑みにして、治療を諦める必要は全くありません。
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2. 打ち切りを打診されたら?絶対にやってはいけない3つのこと
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焦って誤った行動をとってしまうと、本来受け取れるはずの賠償金が大幅に減るなど、取り返しのつかない不利益が生じることがあります。以下の3つは絶対に避けてください。
【NG①】痛みが残っているのに、通院をやめてしまう
「保険会社が払ってくれないなら仕方ない」と通院をやめてしまうのは最も危険です。通院をやめた時点で「ケガが完治した」とみなされ、その後の治療費はもちろん、通院慰謝料も通院をやめた日までしか計算されなくなります。
【NG②】医師に相談せず、自己判断で諦めてしまう
「もう治らないのかも」と、ご自身の判断で治療を諦めないでください。主治医がまだ改善の見込みがあると判断しているなら、堂々と治療を続けるべきです。治療の要否を判断するのは医師の役割です。
【NG③】焦って、示談書にサインをしてしまう
保険会社は打ち切りと同時に、示談金を提示してくることがあります。しかし一度示談が成立すると、原則として後から追加請求することはできません。保険会社が最初に提示する金額は、本来受け取れる適正額(裁判基準)より大幅に低いのが一般的です。その場でサインしてはいけません。
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3. 今すぐ取るべき4つのステップ
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では、実際に打ち切りの連絡が来たら、どのように行動すればよいのでしょうか。
【ステップ1】主治医に「治療を続ける必要があるか」確認する
まずは主治医に「保険会社から治療費の打ち切りを打診されましたが、先生から見てまだ治療継続の必要はありますか?」と率直に確認しましょう。医師が治療の継続が必要と判断した場合は、その旨を医師から保険会社へ伝えてもらうか、診断書を作成してもらいましょう。
【ステップ2】主治医の意見を根拠に、保険会社へ延長を求める
主治医の見解が得られたら、それを根拠に保険会社へ「治療費支払いの延長」を求めます。「主治医もまだ治療が必要と言っています。あと〇ヶ月は支払いを続けてください」と明確に伝えましょう。医学的な根拠があれば、1〜数ヶ月の延長が認められるケースは多くあります。
【ステップ3】延長を拒否されたら、健康保険に切り替えて通院を続ける
保険会社が支払いを打ち切っても、治療を続けることが大切です。ご自身の健康保険を使えば、自己負担を原則3割程度(年齢や加入保険の種類により異なります)に抑えることができます。立て替えた治療費は、後の示談交渉や裁判で加害者側に請求できます。
※健康保険を使う際は、加入している健康保険組合等に「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。
【ステップ4】「症状固定」と言われたら、後遺障害等級認定の手続きへ
これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態になることを「症状固定」といいます。主治医から症状固定と診断されたら、そこが治療のゴールとなります。
ただし、痛みが残っている場合は泣き寝入りする必要はありません。「後遺障害等級認定」の申請を行い、適切な等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益(事故がなければ将来得られたはずの収入)として、新たに賠償金を請求できます。
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4. 弁護士に依頼することで変わる3つのこと
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ケガの痛みと闘いながら、知識も経験も豊富な保険会社の担当者と交渉するのは、大きなストレスと労力がかかります。早い段階で交通事故に強い弁護士に相談することで、次のようなメリットがあります。
■ 治療期間が延長されやすくなる
弁護士が主治医と連携し、医学的根拠をもとに保険会社と交渉します。被害者本人が交渉するよりも、一括対応の延長が認められる可能性が高まります。
■ 保険会社との連絡を弁護士に一本化できる
弁護士が代理人となるため、保険会社からの連絡はすべて弁護士が対応します。高圧的な態度への精神的ストレスから解放され、治療と回復に専念できます。
■ 受け取れる賠償金が増額するケースがある
保険会社が提示する示談金は、自社の支払いを抑えるための「任意保険基準」で計算されています。弁護士が介入すると、裁判例に基づいた「弁護士基準(裁判基準)」で交渉できるため、慰謝料が大幅に増額するケースがあります。
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まとめ:一人で抱え込まず、まずはご相談ください
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保険会社からの「治療費打ち切り」の連絡は、多くの場合、事務的な手続きの一環に過ぎません。その言葉に焦って治療をやめたり、安易に示談に応じたりしてしまうと、適正な補償を受ける権利を失ってしまいます。
「まだ痛いのに打ち切られそうで不安」
「保険会社の担当者の対応にストレスを感じている」
「今後の手続きがどうなるのかわからない」
少しでも不安や疑問を感じたら、手遅れになる前に一度ご相談ください。
法律事務所Sでは、交通事故被害者の方の状況を丁寧にお伺いし、適正な賠償金の獲得に向けたサポートをいたします。保険会社との交渉はプロに任せて、まずはご自身のお体の回復を最優先にしてください。
